足の運びと体の向き変更の関係を表す用語に、CBMがあります。CBMはスタンダード種目に特有の用語で「ステップされた足の反対側のヒップとショルダーがターンする動作である」とアレックス・ムーア著『ボールルームダンシング』には述べられています。
このCBMという用語は分かりにくい言葉です。そのために、どのようなものであるかをイメージできずにいる愛好家がたくさんおられるようです。そこで、CBMとはWalkに上下肢一致歩行(ナンバ歩き)の性格を与えるために作られた用語であると考えましょう。
英国人にとって、Walkといえば、上下肢交互歩行が一般的です。例えば、スコッチウィスキーで有名な“ジョニーウォーカー”のラベルの紳士や、ビートルズのアルバム“アイビーロード”のジャケット写真の歩行の様子を見て下さい。
そんな英国人にとって、Walkに上下肢一致歩行の性格を与えるにはCBMという新しい用語が必要です。
他方、われわれ日本人には、ナンバ歩きの文化があります。「CBMをかけて踊れ」といわれるよりも「ナンバで踊れ」といわれる方が分かりやすいのです。そうです。英国人にとってWalk+CBMは、われわれにとってはナンバ歩きなのですから。
CBMの他に、ショルダーリード(サイドリード)やシャッセそして、ボールやヒールを床との接点とする軸回転運動も、上下肢一致歩行に相当します。
このことから、スタンダード種目の動きが、上下肢一致歩行(ナンバ歩き)を元に発展したものであることが分かるのではないでしょうか。